2012年07月02日
血友病A:インヒビターと第VIII因子製剤の由来と純度
今回紹介させていただくJ Thromb Haemost 誌の論文では、血友病治療に伴うインヒビターは、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤ではどちらが出現しやすいか、また、血漿由来製剤の場合であっても純度の高い製剤と低い製剤ではどちらが出現しやすいかを検討しています。
「血友病A患者におけるインヒビター発症の危険因子としての第VIII因子製剤の由来と純度」
著者名:Mancuso ME, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 781-790, 2012.
<論文の要旨>
血友病A患者におけるインヒビター発症はいくつかの要素に左右されますが、第VIII因子製剤の種類も一因と考えられています。
著者らは、第VIII因子製剤の由来(pd:血漿由来、r:遺伝子組換え)のみならず純度(特異活性)でも分類して検討しました。
対象は血友病A377例であり、インヒビター発症までのデータまたは150回までの輸注データについて調査しました。
その結果、111症例(29%)でインヒビターを発症しました(高反応型は96例(25%))。
低〜中等純度のpdFVIII製剤で治療された場合は、高純度のpd&rFVIIIで治療された場合よりもインヒビター発症が低率でした。
低〜中等純度のpdFVIIIを対照とすると、補正ハザート比は、rFVIII4.9、高純度pdFVIII2.0でした。
以上、FVIIIの純度はインヒビターの発症率に影響を与えるものと考えられました。
特に、pdFVIIIにおいてもFVIIIの純度はインヒビター発症率に影響を与えることは強調されるべきと考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患