2012年07月14日
遺伝子組換え第XIII因子製剤:第XIII因子欠損症に対して
遺伝子組換え第XIII因子製剤も登場しそうです。
血液凝固因子製剤は、一部の疾患を除いて、遺伝子組換え製剤が主流になっていくのでしょうか。
「遺伝子組換え第XIII因子製剤:第XIII因子欠損症に対する安全で新規の治療法」
著者名:Inbal A, et al.
雑誌名:Blood 119: 5111-5117, 2012.
<論文の要旨>
先天性第XIII因子(FXIII)欠損症はまれな常染色体劣性遺伝の疾患であり、ほとんどの症例はサブユニットA(FXIII-A)の欠損症です。
本疾患では、致命的出血、創傷治癒不全、自然流産がみられます。
ほとんどの国において、血漿製剤やクリオ製剤が使用可能ですが、アレルギー反応や血液由来病原菌の危険性を有しています。
著者らは先天性FVIII-A欠損症に対する遺伝子組換え第XIII因子製剤(rFXIII)予防投与の有効性と安全性を評価しました。
対象は6歳以上の41例(平均26.4歳:7〜60才)です。
rFXIIIによる予防治療期間中は、4症例での5回の出血エピソード(外傷に起因)のみであり、その際にはFXIII製剤による治療が行われました。
rFXIIIによる予防治療期間中の出血は0.138回/人・年であり、それまでの出血時輸注療法だった時期の2.91回/人・年に比較して有意に低率でした。
一過性の非中和性低力価抗rFXIII抗体が4例でみられましたが、アレルギー反応、治療を要する出血、FXIII薬物動態の変化を伴いませんでした(しかも、その後消失しました)。
以上、rFXIIIはFXIII-A欠損症の出血を予防する上で有効かつ安全と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患