服部絢一先生:金沢大学医学部第三内科
金沢大学 細胞移植学(血液・呼吸器内科学)教室【2】
(旧:金沢大学内科学第三教室)
<初代教授 服部 絢一>
(在職 昭和44年4月〜昭和59年4月)
<教授略歴>
大正8年 福岡県中間町に生まれる。
昭和18年9月 九州帝国大学医学部卒業。当時は第二次世界大戦の最中であったが、その年度から始まった大学院特別研究生の制度に入り、血液学専攻。
昭和25年9月 九州大学大学院修了
昭和31年8月 米国ピッツバーグ大学内科留学(フルブライト交換研究員)。組織化学、特に好中球アルカリフォスファターゼの研究に従事。
昭和33年11月 九州大学医学部附属病院講師
昭和40年7月 九州大学助教授
昭和44年4月 金沢大学教授
昭和53年4月 金沢大学医学部附属病院長(2年間)
昭和59年4月 退官。金沢大学名誉教授
昭和59年4月 石川県赤十字血液センター長
平成2年8月 石川県赤十字血液センター長勇退
平成16年12月4日逝去
<主な学会会長>
昭和52年5月 第39回日本血液学会総会会長
昭和52年9月 第16回日本臨床細胞学会秋期大会会長
昭和56年5月 第29回日本輸血学会総会会長
昭和56年10月 第23回日本臨床血液学会総会会長
昭和57年2月 第15回日本無菌生物ノートバイオロジー学会総会会長
<所属学会>
多くの学会で理事を歴任。日本血液学会(名誉会員)、日本臨床血液学会(名誉会員)(現在は日本血液学会と合流)ほか多数。
<研究内容>
・光学・位相差・電子顕微鏡による血液疾患形態学
・ 抗体産生細胞の同定
・ T・Bリンパ球の免疫反応における役割
・ 細胞診による悪性細胞の診断基準の制定
・ ステロイドホルモンの生体内代謝
・ 同種造血幹細胞移植療法の確立
・ 無菌室治療・腸管内無菌化療法の確立
<研究成果>
昭和49年頃より骨髄移植療法の開発に着手し、血液・免疫グループに加えて、呼吸器グループ(移植後の肺合併症)、感染症グループ(無菌室治療)、心身症グループ(無菌室に隔離された患者の心のケア)による骨髄移植チームを育成した。
昭和50年に国立大学附属病院で初めての無菌治療室を導入し、昭和52年に第1例目の同種骨髄移植を実施。
昭和53年にはわが国で初めて、急性リンパ性白血病に対する同種骨髄移植に成功した。
その後在任中に30例の同種骨髄移植を行った。
骨髄移植の健康保険適用に向けて厚生省に何度も足を運び、厚生大臣や日本医師会長とも直接会って陳情した結果、昭和57年無菌室治療薬(vancomycin)や骨髄移植の保険適用が認められた。
<代表的な著書(単著)>
1970年 「血液の知識」(中外医学社)
1972年 「貧血の診断と治療」(南山堂)
1973年 「血液疾患」(朝倉書店)
1982年 「新版血液疾患」(朝倉書店)
1983年 「骨髄移植」(中外医学社)
<受賞歴>
1)昭和59年5月 紫綬褒章
2)平成元年11月 勲三等旭日中綬章受章
<その他>
学生教育にも並々ならぬ情熱を注いだ。
1976年に、骨髄移植療法の創始者であるアメリカシアトルのDrドナルド・トーマスが金沢を訪れた際、「トーマス博士は将来必ずノーベル賞を取る学者だから、すべての学生が話を聞いた方が良い」と訴えた結果、全学年の講義が中止され、トーマス博士による骨髄移植の特別講義が十全講堂で行われた。
その15年後にトーマス博士はノーベル医学生理学賞を受賞した。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| その他