金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年09月15日

内科学卒業試験(血液内科学):リンパ節

平成24年度 内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学
平成24年9月3日(月)

問題の紹介と正答の記事を続けさせていただきます。


1.    26歳の男性。

10日前から咽頭痛、発熱があり、近医を受診。両側扁桃腫大を指摘され、解熱鎮痛薬と抗生物質を処方された。咽頭痛は改善したが発熱が続き、全身倦怠が徐々に増悪した。2日前に近医を再診し、血液検査を受けたところ血球減少を指摘され、血液内科に紹介された。

血液所見:赤血球数220万,Hb 6.4 g/dl,Ht 21.0%,白血球数1800,血小板数4.5万,網赤血球3.7万,総ビリルビン 0.6 mg/dl。骨髄塗抹標本をスライド1に示す。


1-1. 本疾患で予想される検査値異常はどれか。

(1)    破砕赤血球の出現
(2)    直接クームス試験陽性
(3)    LDHの上昇
(4)    血清フェリチンの上昇
(5)    CRPの上昇

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)


(正答)   e

 

 

1-2. 本疾患の基礎疾患・原因として可能性の低いものはどれか。一つ選べ。

a.    全身性エリテマトーデス
b.    伝染性単核球症
c.    溶血性貧血
d.    悪性リンパ腫
e.    敗血症


(正答)   c

 

2.    42歳の女性。

2か月前の入浴時に体を洗っていた際、左頚部に1cm大の腫瘤があることに気付いた。自覚症状がなかったため放置していたところ、最近に なって徐々に増大してきたため血液内科を受診した。

身体所見:結膜に貧血・黄疸なし。左側頚部に2p大のリンパ節を1個触知する。弾性軟、可動性は良好で 圧痛はない。右頚部、鎖骨窩、腋窩、鼡径部などにリンパ節は触知しない。

血算や一般的な血液生化学検査では異常は認められなかった。

2-1. 以下の項目の中で優先的に行うべき検査・処置はどれか。
(1)    頚部CT
(2)    FDG-PET
(3)    骨髄生検
(4)    耳鼻科診察
(5)    可溶性インターロイキン2レセプターの測定

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)


(正答)   c

 

2-2. 1か月後に行われた左頚部リンパ節生検の病理所見をスライド2に示す。全身CT・FDG-PETでは有意なリンパ節腫大はなく、骨髄生検や末梢血のフロー サイトメトリー検査でも異常細胞は検出されなかった。

この患者に対して行われる可能性の高い治療はどれか。一つ選べ。

a.    無治療経過観察
b.    左頚部に対する局所放射線治療
c.    リツキシマブ単独療法
d.    R-CHOP療法
e.    フルダラビン療法

(正答)   a



3.    48歳の女性。

2年前の健康診断で軽度の貧血と血小板減少を指摘されたが、無症状であったため二次検査は受けず放置していた。3か月前から疲れやすくな り、家人から顔色が悪いと言われていた。1週間前に咽頭痛と38℃の発熱があり、近医でかぜ薬を処方された。かぜ症状は改善したが倦怠感は増悪し、息切れ も感じるようになったため、大学病院を受診した。

身体所見:眼瞼結膜は貧血様、球結膜に黄疸を認める。表在リンパ節は触知せず、肝脾腫もない。

血液所見: 赤血球数290万、Hb 7.0g/dl,Ht 25.5%、白血球数1800(好中球数670)、血小板数3.6万、網赤血球6.0万、LDH 1020 IU/l (基準値120-214)、総ビリルビン 2.8 mg/dl、直接ビリルビン0.8 mg/dl。。経時的な尿の肉眼的所見をスライド3に示す。

31-1. 予想される検査所見はどれか。

(1)    GPIアンカー膜蛋白欠失顆粒球陽性
(2)    尿中ヘモジデリン陽性
(3)    骨髄低形成
(4)    偽ペルゲル核異常を伴う好中球の出現
(5)    直接クームス試験陽性

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)

(正答)  a


13-2 免疫抑制療法により白血球数、血小板数は正常化したが、貧血は改善せず、定期的な輸血が必要であった。貧血に対する治療として適切なものはどれか。一つ選べ。

a.    副腎皮質ステロイド
b.    エクリズマブ(抗C5抗体)
c.    アザシチジン
d.    低用量シタラビンシトシンアラビノシドシタラビン少量
e.    同種造血幹細胞移植

(正答)  b


<リンク>

 

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 医師国家試験・専門医試験対策