金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年09月16日

内科学卒業試験(血液内科学):貧血など

平成24年度 内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学
平成24年9月3日(月)

問題の紹介と正答の記事を続けさせていただきます。


4.    60歳、女性。

平成18年胃癌のため胃全摘術を受けたのち、近医に通院していた。平成23年4月頃から貧血を指摘され、同年8月頃より、貧血に加えて白血球減少、血小板減少も出現したため、血液内科に紹介された。

赤血球数185万、Hb 5.9g/dl,Ht 20.6%、白血球数1480(好中球40%、リンパ球46%、単球10%、好酸球3%、好塩基球1%)、血小板数7.0万、網赤血球3.8万、LDH 820 IU/l (基準値120-214)、血清フェリチン20 ng/ml。骨髄像をスライド4に示す。この患者に対する治療として適切でないのはどれか。

(1)    赤血球輸血
(2)    G-CSF
(3)    エリスロポエチン
(4)    ビタミンB12投与
(5)    鉄剤投与

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)

(正答)  a



5.    白血球増多のため来院したある患者の骨髄塗抹標本(スライド5)を示す。検査結果の解釈として正しい文はどれか。一つ選べ。

a.    骨髄異形成症候群は否定してもよい。
b.    慢性骨髄性白血病は否定してもよい。
c.    ペルオキシダーゼ染色に染まらなければ急性骨髄性白血病は否定してもよい。
d.    Auer小体を認めれば急性リンパ性白血病は否定してもよい。
e.    エステラーゼ二重染色で特異的エステラーゼ陽性ならば単球系の急性白血病と診断してもよい。


【解説】

a.    芽球の比率が明らかに20%を超えていると思われるから。
b.    慢性骨髄性白血病の慢性期は否定できるが急性転化の可能性あり
c.    AML-M0などPOXに染まらないAMLがあります。

(正答)a,  d

【訂正】「二つ選べ」とすべきところ、「一つ選べ」になっていましたので、どちらか一方の記載がある場合、正解とします。


6.    ある患者の骨髄塗抹標本(スライド6)を示す。この患者に対する治療に用いない薬剤はどれか。二つ選べ。

a.    メルファラン
b.    ハイドロキシウレア
c.    全トランスレチノイン酸
d.    レナリドミド
e.    ボルテゾミブ

(正答)b,  c



7.    骨髄異形成症候群に関する記載の中で正しいのはどれか。 

(1)    微小巨核球の増加は重要な診断根拠となる。
(2)    2系統以上の血球の減少がみられる。
(3)    好中球減少例に対するG-CSF投与は禁忌である。
(4)    7番染色体モノソミー例の予後は不良である。
(5)    アザシチジンは脱メチル化作用によって効果を発揮する。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)


(正答)c


8.    EBウイルスが発症に関与していない疾患は以下のうちどれか。一つ選べ。

a.    移植後リンパ増殖性疾患
b.    ホジキンリンパ腫
c.    バーキットリンパ腫
d.    節外性NK/T細胞リンパ腫
e.    マントル細胞リンパ腫


(正答)e


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 23:54| 医師国家試験・専門医試験対策