金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年09月21日

PNHと血栓症(7):血小板活性化

PNHと血栓症(6):遊離型ヘモグロビンとNOより続く。


<PNH血栓症の発症機序(4)>

血小板機能

PNH血小板には補体阻止因子であるCD55&59がなく、血小板活性化をきたしやすい可能性があります。

ただし、赤血球とは異なり血小板は破壊されることはなく、血小板寿命も正常です。

Devine DV, Siegel RS, Rosse WF. Interactions of the platelets in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria with complement. Relationship to defects in the regulation of complement and to platelet survival in vivo. J Clin Invest. 1987; 79: 131-7.


エクリズマブによる治療を行っても、PNH血小板クローンサイズや血小板数に変化はありません。

補体は血小板を破壊させることはありませんが、血小板活性化を惹起します。

正常血小板上のCD59をブロックしたり、大量の膜障害複合体(membrane attack complex、MAC)を正常血小板に添加しますと、血小板α顆粒からの第V因子の放出をきたしプロトロンビナーゼ活性を上昇させます。

Sims PJ, Rollins SA, Wiedmer T. Regulatory control of complement on blood platelets. Modulation of platelet procoagulant responses by a membrane inhibitor of the C5b-9 complex. J Biol Chem. 1989; 264: 19228-35.

PNH血小板では、多くの第Va因子結合部位を有しており、MAC刺激によってより多くのトロンビン形成がみられるという報告もあります。

Wiedmer T, Hall SE, Ortel TL, et al. Complement-induced vesiculation and exposure of membrane prothrombinase sites in platelets of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood. 1993; 82: 1192-6.
 

(続く)

PNHと血栓症(8):マイクロパーティクル

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 血栓性疾患