PNHと血栓症(8):マイクロパーティクル
PNHと血栓症(7):血小板活性化より続く。
<PNH血栓症の発症機序(5)>
マイクロパーティクル
マイクロパーティクル(MP)は、膜由来成分で、細胞の活性化・炎症・障害に伴って血中に放出されます。
細胞膜は二重膜を形成していますが、外側と内側では同一ではありません。
通常、リン脂質のうちフォスファチジルセリン (PS)は膜の内側にのみ存在するのに対し、フォスファチジルコリン(PC)は外膜に多いです。
しかし、細胞に刺激が加わりますとPSが外側に移動して、細胞骨格は変性してMPが放出されます。
細胞膜やMPに発現したPS上に、プロトロンビナーゼ(FVa/FXa)やテンネース(FVIIIa/FIXa)が集まり、凝固活性化が進行します。
GPI欠損細胞表面上において補体が活性化されますと、向凝固活性を有したMPが放出されて血栓傾向となる可能性があります。
実際PNH患者では、流血中のPS発現MP総量が多いという報告があります(プロトロンビナーゼ法で評価)。
Hugel B, Socié G, Vu T, Toti F, et al. Elevated levels of circulating procoagulant microparticles in patients with paroxysmal nocturnal hemoglobinuria and aplastic anemia. Blood. 1999; 93: 3451-6.
in vitroにおける検討でも、PNH血小板は正常血小板と比較して、MAC刺激によってより多くのMPを放出することが示されています。
Wiedmer T, Hall SE, Ortel TL, et al. Complement-induced vesiculation and exposure of membrane prothrombinase sites in platelets of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood. 1993; 82: 1192-6.
(続く)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:51| 血栓性疾患