金沢大学第三内科同門会:近況報告
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿を、このブログでも紹介させていただきます。
今回は、森孝夫先生です。ユーモラスな原稿をいただきました。ありがとうございます。
近況報告
「昔の思い出話でもいいですか」
森 孝夫 (昭和49年入局)
医者になっていつの間にか40年。
第三内科に20年程お世話になった後、前第三内科同門会会長(現顧問)の北中勇先生の運営する老人保健施設に勤めるようになってやはり20年が経ちました。
妊婦と子供以外は何でも診ています(抜歯もします)。
近況報告をとのことで何を書こうかとあれこれ考えましたが大したこともしておらず、そのうちに何だかんだと昔のことを思い出したのでそんな事を書かせていただきます(もしもご迷惑のかかる先生がいらっしゃいましてももう時効ということでどうかご勘弁を)。
ちなみに昭和49年は長島茂雄が現役を引退したり、ウォーターゲート事件でニクソン大統領が辞めたり、オイルショックでトイレットペーパーが店先からなくなったりした年だそうです。
1.白血病のすべて
初代教授の服部絢一先生の病棟回診のとき、白血病患者さんを担当していた主治医があまりに教授の質問に答えられなかったので教授が怒って、「君は一体どんな本を読んで勉強しているんだ」と聞いたら、主治医は患者さんの枕元で「白血病のすべてです」と答えました。
2.多発性骨髄腫の患者さんの骨髄穿刺
多発性骨髄腫の患者さんの骨髄穿刺を胸骨で行いました。骨がもろくて心臓穿刺になると恐いのでストッパーを短くしてできるだけやさしく刺したつもりでしたが、やっぱり針がいきなりズボッと入って
しまい小生の心臓が止まる思いをしました。患者さんは平気な顔をしていましたが。
3.これが脾臓だよ
服部教授の外来に男性の患者さんが受診されました。腹部を触診すると腫瘤を触れます。白血球数も増加しています。先生は診察の補助をしている我々に、「これはCMLだ。この腫瘤は脾臓だ。君達もよく触れて覚えておくように」とおっしゃいました。入院後胃透視をしたらその腫瘤は大きな胃癌でした。勿論すぐにこっそり外科にお願いしました。
4.ネズミ小屋
昭和50年頃はネズミを使って実験をされている先生が多かったようです。勿論きれいな動物実験センターなどあるはずもなくバラックのような小屋で飼育しているのですが、ケージの中にネズミを飲み込んでお腹の膨れだヘビがいたり、系の異なるネズミ同士が交尾をしてあっという間に混血児だらけなったり、ダニやらノミやらシラミをうつされたりして大変でした。ネズミをひもでしばって水に沈め
ストレス潰瘍の実験をしている先生もいらっしゃったと思います。
5.医局旅行
今でもそうかも知れませんが、以前の医局旅行には奥さんやお子さんなど家族も参加して、バスの
中でみんなで童謡を歌ったりしてとても楽しいひと時でした。夜の宴会場で相撲をとって畳を破った
先生もいました。ところである年金沢駅前で解散した医局旅行の時です。家に帰るために皆当たり前
のようにタクシー乗り場に向かうのですが、服部先生ご夫妻だけはバス乗り場に向かわれました。
6.トイレで
昭和55年から2年間ほどシアトルのフレッド八ッチソン癌研究所に留学していたことがあります。後
に骨髄移植でノーベル賞を受賞したトーマス教授のいたところです。ある日トイレを使おうとドアをノックして鍵のかかっていないトイレを開けたら、ズボンを下ろしこっち向きに便器に腰掛けているトーマス教授がいました。お互い「ハーイ」と手を挙げて挨拶をしてドアを閉めました。
まだまだありますが、これ以上書くと第三内科の名誉と品位を失いかねないのでこのあたりで。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54| その他