金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月10日

後天性血友病Aの止血治療

論文紹介をさせていただきます。

今回は、後天性血友病Aに関するBloodの論文です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa

 

「後天性血友病Aの止血治療(EACH2試験の結果)」

著者名:Baudo F, et al.
雑誌名:Blood 120: 39-46, 2012.


<論文の要旨>

後天性血友病Aは、第VIII因子に対する自己抗体が出現するまれな出血性素因です。

発症時の出血は、通常は自然出血で重症です。至適な止血治療に関しては議論となっています。

著者らは、EACH2(European Acquired Haemoophilia)に登録された501症例について、初回出血エピソードに対する止血治療としてのバイパス製剤(rFVIIaまたはaPCC)、FVIII、DDAVPの評価を行いました。


1回以上の出血のみられた482症例のうち、144症例(30%)は止血治療を受けていませんでした。31症例は対症療法のみでした。

ファーストラインの止血治療をうけた307症例のうち、174例(56.7%)はrFVIIa、63例(20.5%)はaPCC、56例(18.2%)はFVIII、14例(4.6%)はDDAVPによる治療を受けていました。


ファーストラインの止血療法または補助療法のみをうけた338例中269例(79.6%)では出血がコントロールされました。


Propensity score mathing法により治療群間の不偏的な比較を行いました。

止血効果は、FVIII/ DDAVPに比較してバイパス製剤で有意に良好でした(68.3% vs. 93.3%;P=0.003)。

rFVIIaとaPCC間では差はみられませんでした(936.0%;P=1)。

血栓症の合併は3.6%でみられ、rFVIIaで2.9%、aPCCで4.8%と同等でした。
                                                              

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| 出血性疾患