後天性血友病Aの止血治療
論文紹介をさせていただきます。
今回は、後天性血友病Aに関するBloodの論文です。
「後天性血友病Aの止血治療(EACH2試験の結果)」
著者名:Baudo F, et al.
雑誌名:Blood 120: 39-46, 2012.
<論文の要旨>
後天性血友病Aは、第VIII因子に対する自己抗体が出現するまれな出血性素因です。
発症時の出血は、通常は自然出血で重症です。至適な止血治療に関しては議論となっています。
著者らは、EACH2(European Acquired Haemoophilia)に登録された501症例について、初回出血エピソードに対する止血治療としてのバイパス製剤(rFVIIaまたはaPCC)、FVIII、DDAVPの評価を行いました。
1回以上の出血のみられた482症例のうち、144症例(30%)は止血治療を受けていませんでした。31症例は対症療法のみでした。
ファーストラインの止血治療をうけた307症例のうち、174例(56.7%)はrFVIIa、63例(20.5%)はaPCC、56例(18.2%)はFVIII、14例(4.6%)はDDAVPによる治療を受けていました。
ファーストラインの止血療法または補助療法のみをうけた338例中269例(79.6%)では出血がコントロールされました。
Propensity score mathing法により治療群間の不偏的な比較を行いました。
止血効果は、FVIII/ DDAVPに比較してバイパス製剤で有意に良好でした(68.3% vs. 93.3%;P=0.003)。
rFVIIaとaPCC間では差はみられませんでした(936.0%;P=1)。
血栓症の合併は3.6%でみられ、rFVIIaで2.9%、aPCCで4.8%と同等でした。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| 出血性疾患