金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月13日

血友病と心筋梗塞

論文紹介をさせて続けさせていただきます。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


「成人血友病患者における非致死的心血管疾患、悪性疾患、その他の疾患」

著者名:Fransen van de Putte DE, et al.
雑誌名: Thromb Res 130: 157-162, 2012.


<論文の要旨>

血友病のコントロールが良好になってきたことに伴い、加齢関連の問題に直面しています。

血友病患者における心血管疾患、悪性疾患、その他の疾患の発症率を知っておくことは重要です。


著者らは、1971年以前に生まれた血友病患者408症例(重症204例、非重症204例)の診療録を用いて全ての合併疾患を調査し、年齢の一致した一般男性オランダ人と比較しました。


その結果、11症例で心筋梗塞(MI)を発症していました(全て非致死的)。


重症血友病患者での非致死的MI発症率は一般人男性よりも低い結果でしたが(0.5%vs. 4.8%)、非重症血友病患者での発症率は4.4%であり、一般男性と同等でした。


ウィルスと関連ない悪性疾患やその他疾患は、血友病患者と一般男性間に差はみられませんでした。


血友病患者の12%にHIV感染症がみられ、56%にHCV感染がみられました。78例(19%)は死亡していました。

主な死因は、悪性疾患、AIDS、C型肝炎、頭蓋内出血でした。


以上、重症血友病AではMIの発症が低く、凝固因子活性が著減することは血栓症阻止的に作用すると考えられました。

ただし、他の疾患(ウィルス関連を除く)は、血友病患者と一般男性間で差はないものと考えられた。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 出血性疾患