2012年10月15日
第VII因子欠損症の大手術に対するrFVIIa(ノボセブン)
論文紹介をさせて続けさせていただきます。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)、新規経口抗凝固薬
「無症候性第VII因子欠損症における大手術に対するrFVIIa治療 」
著者名:Livnat T, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 23: 379-387, 2012.
<論文の要旨>
先天性第VII因子欠損症は、まれな常染色体劣性遺伝する凝固因子欠損症の中では最も高頻度にみられます。
先天性第VII因子欠損症は、臨床的な重症度や臨床症状と第VII因子活性レベルとの間には必ずしも相関がないことが知られています。
ただし、重症の出血は第VII因子活性が2%以下の症例で見られやすい傾向にあります。
第VII因子活性が2〜10%の間にある症例においては、無症候性の場合〜致命的な出血をきたす場合まで様々です。
遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)は、先天性第VII因子欠損症に対して最も用いられる補充療法です。
しかし、血友病に対しては治療ガイドラインが確立しているのに対して、無症候性の第VII因子欠損症に対する治療法については議論があります。
著者らは、大手術が必要になった無症候性第VII因子欠損症症例に対して、1回のごく少量のrFVIIaが有効かつ安全であったと報告しています。
また、トロンビン形成試験やトロンボエラストメトリーによってもこの方法が適切であることが確認されました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 出血性疾患