金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月16日

第XI因子欠損症(血友病C)と脳出血

論文紹介をさせて続けさせていただきます。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


「第XI因子欠損症症例における脳出血(手術施行例)

著者名:Goto Y, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 23: 456-458, 2012.


<論文の要旨>

男性63歳が突然に右半身麻痺をきたし、著者らの施設に搬送されました。CTでは、左側頭葉の皮質下出血と診断されました。


既往歴に高血圧があったため、当初は高血圧症性の脳出血と考えられました。

しかし、血液凝固検査ではAPTTの延長が確認されました。入院1時間後に、Glasgow Coma Scaleは14から11へ低下しました。

著者らは、超音波ガイド下に定位血腫除去術を行いました。患者の病状は急激に改善し、手術数日後に先天性第XI因子欠損症と診断されました。


先天性第XI因子欠損症は血友病Cと呼称されたこともあり、自然出血はまれですが、観血的処置を行う際に出血をきたすことがあります。


本症例の経験から、脳内出血の症例に遭遇した場合には凝固検査をすることが重要と考えられました。

そして、凝固異常が発見された際には、より低浸襲な術式を選択することが良い結果につながるものと考えられました。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患