金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年11月01日

DIC診断基準:急性期(救急領域)

DIC診断基準:劇症肝炎 より続く。

関連記事:播種性血管内凝固症候群(DIC)DIC診断基準DIC診断基準改訂


<急性期DIC診断基準>

(丸藤哲ほか:急性期DIC診断基準 多施設共同前向き試験結果報告. 日本救急医学会雑誌 16: 188-202, 2005)

急性期


表1 基礎疾患

全ての生体侵襲はDICを引き起こすことを念頭におく

1.    感染症(全ての微生物による)
2.    組織損傷:外傷、熱傷、手術
3.    血管性病変:大動脈瘤、巨大血管腫、血管炎
4.    トキシン/免疫学的反応:蛇毒、薬物、輸血反応(溶血性輸血反応、大量輸血)、移植拒絶反応
5.    悪性腫瘍(骨髄抑制症例を除く)
6.    産科疾患
7.    上記以外にSIRSを引き起こす病態:急性膵炎、劇症肝炎(急性肝不全、劇症肝不全)、ショック/低酸素、熱中症/悪性症候群、脂肪塞栓、横紋筋融解、他
8.    その他


表2 鑑別すべき疾患および病態

診断に際してDICに似た検査所見・症状を呈する以下の疾患および病態を注意深く鑑別する

1.    血小板減少

イ)    希釈・分布異常
  1)大量出血、大量輸血・輸液他

ロ)血小板破壊の亢進
1)    ITP
2)    TTP/HUS
3)    薬剤性(ヘパリン、バルプロ酸等)
4)    感染(CMV, EBV, HIV等)
5)    自己免疫による破壊(輸血後、移植後等)
6)    抗リン脂質抗体症候群
7)    HELLP症候群
8)    SLE
9)    体外循環 他

ハ)骨髄抑制、トロンボポイエチン産生低下による血小板産生低下
1)    ウイルス感染症
2)    薬物など(アルコール、化学療法、放射線療法等)
3)    低栄養(Vit B12、葉酸)
4)    先天性/後天性造血障害
5)    肝疾患
6)    血球貪食症候群(HPS) 他

ニ)偽性血小板減少
1)    EDTAによるもの
2)    検体中抗凝固剤不足 他

ホ)その他
1)    血管内人工物
2)    低体温 他


2. PT延長

1)抗凝固療法、抗凝固剤混入
2)Vit K欠乏
3)肝不全、肝硬変
4)大量出血、大量輸血 他


3. FDP上昇

1)各種血栓症
2)創傷治癒過程
3)胸水、腹水、血腫
4)抗凝固剤混入
5)線溶療法 他


4. その他
1)異常フィブリノゲン血症 他



表3 SIRS診断基準
体温:>38℃あるいは<36℃
心拍数:>90/分
呼吸数:>20回/分あるいはPaCO2<32 mmHg
白血球数:>12,000/mm3あるいは<4,000/mm3 あるいは幼若球数>10%



表4 急性期DIC診断基準(既述)
注意
1)    血小板数減少はスコア算定の前後いずれの24時間以内でも可能。
2)    PT比(検体PT秒/正常対照値)ISI=1.0の場合はINRに等しい。各施設においてPT比1.2に相当する秒数の延長または活性値の低下を使用しても良い。
3)    FDPの代替としてD-ダイマー を使用して良い。各施設の測定キットにより以下の換算表を使用する。



表5 D-ダイマー/FDP換算表


DD換算


(続く)DIC診断基準:旧厚生省


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:51| DIC