2012年12月14日
後天性血友病:診断までに要した期間
論文紹介です。
「後天性血友病はしばしば見過ごされる(ハンガリーの三次医療機関での経験)」
著者名:Arokszallasi A, et, al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 23: 584-589, 2012.
<論文の要旨>
後天性血友病は致命的な出血をきたすことで知られており、早期診断、早期治療が重要です。
著者らは、1999〜2011年の間に経験した後天性血友病の出血症状出現から正しい診断に至るまでに費やした時間を調査しました。
後天性血友病13症例の臨床&検査所見が解析されました。
11症例では第VIII因子に対するインヒビターを有しており、1例では第XIII因子に対する自己抗体、1例では第V因子に対する自己抗体を有していました。
出血症状が出現してから正しい診断までに費やした期間は、中央値1.5ヶ月(3日〜9ヶ月)でした。
4症例では診断までに4.0〜8.0ヶ月も要していました。
診断が遅れた原因は、一次医療機関および一部の二次医療機関では止血検査としてPTのみが行われていたためでした。
あるいは、出血症状がありAPTTが延長していたにもかかわらず、APTTが見逃されていた症例もありました。
以上、原因不明の出血症状をきたす症例に遭遇した場合には、すみやかにしかるべき医療機関に紹介することが重要と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 出血性疾患