金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年12月22日

軽・中等症血友病A患者の第VIII因子インヒビター除去

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


「軽症〜中等症血友病A患者における第VIII因子インヒビターの除去

著者名:Kempton CL, et al.
雑誌名:Am J Hematol 87: 933-936, 2012.


<論文の要旨>

軽症〜中等症血友病A患者においては25%の症例において第VIII因子インヒビターを発症します。

一旦インヒビターが発症した場合には、その後の治療選択肢としては、経過観察、免疫抑制療法、免疫寛容導入療法(ITI)の選択肢があります。

現時点では、臨床医がどの選択肢にするかを決めるための指針はありません。


著者らの施設では、インヒビターを発症した軽症〜中等症血友病A26症例のうち、8症例ではITIが行われました。

2例では成功し、2例では失敗し、4例では部分的に成功した。

文献のsystematic reviewでは、インヒビター保有の軽症〜中等症血友病A患16症例のうち12例では、リツキシマブによる治療に反応しました。

インヒビター保有の軽症〜中等症血友病A36症例で、臨床所見と治療成績の二次解析を行いました。

多変量解析では、リツキシマブ薬剤(n=6)および他の免疫抑制療法単独(n=2)は、有意にインヒビター除去に成功しました(HR4.4、10.21)。

一方、ITI単独(n=9)では有意な除去はみられませんでした(HR=1.35)。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23| 出血性疾患