金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年01月08日

プロトロンビン複合体製剤(PCC)によるダビガトラン中和

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


PCCによるダビガトランの中和

著者名:Pragst I, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 1841-1848, 2012.


<論文の要旨>

直接トロンビン阻害薬であるダビガトラン(DE)の問題点の一つは、出血時や緊急の観血的処置時の中和剤がないことです。

プロトロンビン複合体製剤(PCCs)は、クマリン系抗凝固薬の標準的中和薬です。


著者らは、DEの効果がPCCs(Beriplex P/N)で中和されるかどうか動物モデルを用いて検討しました。

また、DEによる出血症状を評価するマーカーを検討しました。

ラットにDE0.4mg/kgを投与して、その後にPCC20、35、50(+プラセボ)IU/kgを投与しました。

標準的方法により腎切開を行い、出血量、出血時間を測定しました。


その結果、出血量29mLが、PCC10IU/kg増加させる毎に出血量が5.44mL低下しました。

PCC50IU/kgでは出血量は完全に正常化しました。


PCCの増量に伴い出血時間は20.0分から5.7分に短縮しました。

PCC投与量を10IU/kg増加させる毎に、出血時間は1/3になりました。


以上、著者らの動物モデルによる検討では、PCCはDEの中和剤として有効と考えられ、今後の検討を進めるべきと考えられました。



 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09| 出血性疾患