金沢大学第三内科(呼吸器内科)学会便り(1)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
学会便りです。同門会報はまだ発刊されていませんので、先行してのアップになります。
「American Thoracic Societyに参加して」(1)
金沢大学医薬保健研究域医学系呼吸器内科 早稲田優子
平成22年より、IgG4関連疾患に関する厚生労働省の研究班のうち、「新規疾患、IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患(IgG4+MOLPS)の確立のための研究班厚労省研究班:梅原班」に研究協力者として参加させていただくこととなりました。
平成24年度より梅原班ともう一つの研究班である岡崎班が合併し、「IgG4関連疾患に関する調査研究班:千葉班」となり引き続き、研究協力者として参加させていただいております。
IgG4関連疾患と言っても聞き慣れない先生方も多いかと存じます。
簡単にIgG4関連疾患について説明しますと、2000年以降、これまで自己免疫性膵炎や両側の涙腺、唾液腺の腫脹をきたす、ミクリッツ病などはそれぞれ別の疾患と思われていましたが、いずれも、IgG4陽性形質細胞の浸潤を伴う硬化性病変だということが判明しました。
その後、膵臓や涙腺、唾液腺以外にも同様にIgG4陽性形質細胞の浸潤をきたす臓器が多数見られ、それらを総称してIgG4関連疾患として新たな疾患が提唱されました。
肺もIgG4陽性形質細胞が浸潤する臓器として注目されましたが、生検組織が得にくく、また外界からの刺激を容易に受けてしまうという特性ゆえ、他疾患との鑑別または合併の判断が難しいことより、診断が困難となっております。
そこで、研究班の班員の中から呼吸器内科医を中心に、呼吸器ワーキンググループ(WG)を結成し、IgG4関連肺疾患に関してこれまで検討を進めて参りました。
本疾患で、特に重要な意味を持つと思われるのは日本発の疾患概念だということです。
つまり、日本人が気づき提唱したものであるということであり、これを日本から世界に発信しなければならない、という使命が私たちにはありました。
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 呼吸器内科