特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とFVIIa/フィブリノゲン製剤
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「血小板数が著減したITP患者に対するrFVIIaとフィブリノゲンの併用療法 」
著者名:Larsen OH, et al.
雑誌名:Br J Haematol 160: 228-236, 2013.
<論文の要旨>
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における重症の急性出血に対して血小板輸血に代わる止血治療が求められています。
著者らは、遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)とフィブリノゲン製剤の併用がITP患者の全血(WB)凝固能を改善するかどうか検討しました。
ITP12症例より採血し、3.2%クエン酸ナトリウムとコーントリプシンインヒビター18.3μg/mLのはいった試験管に注入しました。
WB(平均血小板数22×109/L)が、ドナー血小板(+40×109/L)、rFVIIa(1 or 4μg/mL)、フィブリノゲン(1 or 3mg/mL)、あるいはrFVIIaとフィブリノゲンの併用のいずれかと混合されました。
凝固プロフィールは、組織因子(0.03 pmol/L)活性化のトロンボエラストメトリーで記録されました。
その結果、ITPでは、clotting time(CT)が延長し、maximum velocity (Max Vel)が低下し、maximum clot firmness CMCF)が低下していました。
これに対して、フィブリノゲンは何の効果もありませんでしたが、rFVIIaはCTを短縮しMax Velを上昇させました。
フィブリノゲンとrFVIIaの併用は有意な相乗効果を発揮し、全てのパラメーター(CT, MaxVel, MCF)を改善しました(血小板数著減状態にもかかわらず)。
以上、血小板数が著減したITP患者に対してrFVIIaとフィブリノゲンの併用は、血小板輸血に代わる治療になる可能性があると考えられました。
<リンク>
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 出血性疾患