金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年03月26日

年齢と凝固パラメーターの関係:幼少期、思春期

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)


「幼少期および思春期における年齢と凝固パラメーターの関係

著者名:Appel IM, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 2254-2263, 2013.


<論文の要旨>

幼少期の血栓症疾患や出血性疾患を正しく診断するためには、年齢に適合した基準値を使用する必要があります。

また、用いる試薬や機器にいよる差異もあります。


著者らはシーメンス社の試薬を用いて、Sysmex CA-1500およびBehring BCS機器での検討を行いました。

健常人小児218名、健常人52名より採血されました:1〜6ヶ月(n=29)、7〜12ヶ月(n=25)、1〜5才(n=57)、6〜10才(n=57)、11〜18才(n=50)、19才以上(n=52)。


その結果、PTとAPTTを除いて機種間の差はみられませんでした。

凝固因子活性(フィブリノゲン、II、IX、XI、XII)は最年少小児で有意に低値でした。

凝固阻止因子であるPC、PSは最も強く年齢に依存しており、幼少期、若年小児で低値でした。

最年少小児ではVWFは高値でしたが、第VIII因子活性の上昇は伴っていませんでした。

血液型O型の場合は、O型以外の血液型の場合と比較して年齢に伴うVWFの上昇傾向は不明瞭でした。


以上、12ヶ月未満の小児と、12才以上の小児または成人との間には差異がみられ、年齢とともに止血機序が発展すると考えられました。

年齢毎の基準値を設定することが必要と考えられました。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 出血性疾患