金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年04月08日

重症血友病における第VIII因子製剤とインヒビターの発症

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)


重症血友病における第VIII因子製剤とインヒビターの発症

著者名:Gouw SC, et al.
雑誌名:N Engl J Med 10: 2254-2263, 2013.


<論文の要旨>

未治療の重症血友病Aの小児において、第VIII因子製剤の種類や製剤間の切替えが、インヒビター発症に関連するかどうかは不明です。


著者らは、重症血友病 A患者 574 例(第 VIII 因子活性<0.01 IU/mL、2000〜2010 年に出生)を対象に、最長 75 日間におけるすべての凝固因子製剤投与についてデータを集積しました。

主要転帰はインヒビター発症とし、インヒビターが 2 回以上陽性で、体内における第 VIII 因子活性の回復が低下している場合と定義しました。


その結果、インヒビターは 574 例中 177 例で発症しており(累積発症率 32.4%)、116 例では高力価のインヒビター(最高力価が 5 B.U./mL 以上)でした(累積発症率 22.4%)。

血漿由来製剤は、遺伝子組換え型製剤と比較して、インヒビター発症頻度は同じでした。

第二世代の全長組換え型製剤は、第三世代の全長遺伝子組換え型製剤と比較して、インヒビター発症は高率でした。

凝固因子製剤中のvon Willebrand因子含有量や製剤間の切替えは、インヒビター発症と無関係でした。


以上、遺伝子組換え第 VIII 因子製剤と血漿由来第 VIII 因子製剤におけるインヒビター発症は同率であり、製剤中von Willebrand因子含有量や製剤間の切替えは、インヒビター発症に関与していないと考えられました。

第二世代の全長遺伝子組換え製剤は、第三世代製剤と比較してインヒビター発症率が高い事が明らかになりました。



<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34| 出血性疾患