金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年05月16日

濃厚血小板製剤(PC)(4)血小板輸血不応

濃厚血小板製剤(PC)(3)血小板数増加より続く。


濃厚血小板製剤(PC)(4)血小板輸血不応の判断

濃厚血小板製剤を投与しても、十分血小板が増えるとはかぎません。

この状態を血小板輸血不応と呼びます。

血小板輸血不応の判断には、「補正血小板増加数(corrected count increment: CCI)[/µL]=(輸血後血小板数[/µL]−輸血前血小板数[/µL])×体表面積[m2] ÷輸血血小板数総数[×1011]を用います。


分母が輸血血小板数総数[×1011]であることに注意します。

すなわち濃厚血小板製剤10単位輸血すると分母は2になります。


CCI-24(輸血終了24時間後のCCI:輸血翌朝の測定値を用いてよい)が7,500/µL未満なら輸血不応と判断します。

 

通常は次の輸血時にCCI-1(輸血終了1時間後のCCI)を計算します。

CCI-1が4,500/µL未満なら免疫機序による血小板輸血不応を疑います。

CCI-24が7,500/µL未満でもCCI-1が4,500/µL以上なら、非免疫機序による血小板輸血不応を疑います。

実際は区別が難しい場合も多いです。

 

身長160 cm、体重50 kgの場合、体表面積は1.5 m2

濃厚血小板製剤10単位輸血後血小板数が1万/µLから2万/µLへ増加したら、CCI=(2万-1万)×1.5 ÷2=7,500/µLと、CCI-24の閾値に一致します。

したがって、「濃厚血小板製剤10単位輸血後翌日の血小板が1万/µL以上増えなかったらおかしい」と覚えていてもよいです。

免疫機序による血小板輸血不応が疑われた場合、抗HLA抗体や抗血小板特異抗原(HPA)に対する抗体の有無を調べます。

原因が特定できない場合、特発性血小板減少性紫斑病や血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、ヘパリン起因性血小板減少も疑います。


抗HLA抗体や抗HPA陽性の場合、HLA、HPA適合濃厚血小板製剤を用います。

血小板はHLA class IIを発現していないため、通常はHLA -AとBのみ合わせればよいです。

HLA、HPA適合濃厚血小板製剤の場合、ABO血液型不適合血を受け入れざるをえません。


ただし、溶血性副作用や新たな血小板輸血不応を来たすことがあるため、注意します。

HLA、HPA適合濃厚血小板製剤を用いた場合、必ずCCI-1、CCI-24を測定し、有効性を評価します。


非免疫機序による血小板輸血不応の原因は主に血小板消費亢進です。

播種性血管内凝固症候群、脾機能亢進症、発熱、出血、薬剤などが原因となります。

(続く)濃厚血小板製剤(PC)(5)治療的&予防的輸血

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 輸血学