濃厚血小板製剤(PC)(4)血小板輸血不応
濃厚血小板製剤(PC)(3)血小板数増加より続く。
濃厚血小板製剤(PC)(4)血小板輸血不応の判断
濃厚血小板製剤を投与しても、十分血小板が増えるとはかぎません。
この状態を血小板輸血不応と呼びます。
血小板輸血不応の判断には、「補正血小板増加数(corrected count increment: CCI)[/µL]=(輸血後血小板数[/µL]−輸血前血小板数[/µL])×体表面積[m2] ÷輸血血小板数総数[×1011]を用います。
分母が輸血血小板数総数[×1011]であることに注意します。
すなわち濃厚血小板製剤10単位輸血すると分母は2になります。
CCI-24(輸血終了24時間後のCCI:輸血翌朝の測定値を用いてよい)が7,500/µL未満なら輸血不応と判断します。
通常は次の輸血時にCCI-1(輸血終了1時間後のCCI)を計算します。
CCI-1が4,500/µL未満なら免疫機序による血小板輸血不応を疑います。
CCI-24が7,500/µL未満でもCCI-1が4,500/µL以上なら、非免疫機序による血小板輸血不応を疑います。
実際は区別が難しい場合も多いです。
身長160 cm、体重50 kgの場合、体表面積は1.5 m2。
濃厚血小板製剤10単位輸血後血小板数が1万/µLから2万/µLへ増加したら、CCI=(2万-1万)×1.5 ÷2=7,500/µLと、CCI-24の閾値に一致します。
したがって、「濃厚血小板製剤10単位輸血後翌日の血小板が1万/µL以上増えなかったらおかしい」と覚えていてもよいです。
免疫機序による血小板輸血不応が疑われた場合、抗HLA抗体や抗血小板特異抗原(HPA)に対する抗体の有無を調べます。
原因が特定できない場合、特発性血小板減少性紫斑病や血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、ヘパリン起因性血小板減少も疑います。
抗HLA抗体や抗HPA陽性の場合、HLA、HPA適合濃厚血小板製剤を用います。
血小板はHLA class IIを発現していないため、通常はHLA -AとBのみ合わせればよいです。
HLA、HPA適合濃厚血小板製剤の場合、ABO血液型不適合血を受け入れざるをえません。
ただし、溶血性副作用や新たな血小板輸血不応を来たすことがあるため、注意します。
HLA、HPA適合濃厚血小板製剤を用いた場合、必ずCCI-1、CCI-24を測定し、有効性を評価します。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 輸血学