2013年06月09日
医師国家試験:両下肢の左右対称性紫斑
医師国家試験対策
6歳の男児
血尿を指摘され来院した。2週前から腹痛と膝関節痛とがみられ、3日後から下腿に皮疹が出現したため近医で治療を受けていた。昨日顕微鏡的血尿を指摘され紹介された。
血圧98/46mmHg。腹痛と関節痛とは訴えない。下腿に皮疹を認める。
尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球30〜40/1視野、白血球0〜1/1視野。
血液所見:赤血球430万、白血球9,600、血小板28万。出血時間2分30秒(基準対照3分以下)、プロトロンビン時間<PT>11.0秒(基準対照11.3)、APTT31.6秒(基準対照32.2)。
血清生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン3.7g/dl、尿素窒素13mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、総コレステロール160mg/dl。免疫学的所見:ASO333単位(基準250以下)。抗核抗体陰性。CH5032U/ml(基準25〜35)。
来院時の下腿:両下肢に左右対称性の紫斑
【ポイント】
経時的には、2週間前からの腹痛と膝関節痛(来院時には消失)、10日前位からの下腿の特有の皮疹、そして昨日顕微鏡的血尿を指摘されています。
特に皮疹としてみられている紫斑が特徴的です。
この疾患では下肢〜臀部を中心に、左右対照性の新旧の紫斑が多発します。
若干膨隆して触知可能なことが多いです。性状は、点状から不整形な紫斑と多様ですが、広範囲の紫斑となることはありません。
【病態】
血小板数の低下は無く、出血時間が正常なため血小板機能も正常と考えられます。
PT、APTTの凝固検査も正常です。
家族歴、既往歴、現病歴にも特別な記載はありませんが、腹痛、関節痛、血尿がポイントになっています。
また、何より紫斑が特徴的です。血管壁に起因する出血症状と考えられます。
本症例は、Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)です。
<出血症状症例での考え方の流れ>
<病態把握の流れ>
家族歴、既往歴、現病歴の聴取 → 先天性?
↓
身体所見 → 特徴的な出血部位?
↓
検査(※)
<検査>
血小板数低下 → 有:血小板数低下の疾患
↓無
血小板機能低下(出血時間、血小板凝集能)→ 有:血小板機能低下の疾患
↓無
凝固異常、線溶亢進( PT、APTT、フィブリノゲン、FDP)→ 有:凝固線溶異常
↓無
血管壁の異常
<Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)>
1. 小児に多い血管性出血性素因(成人にもあり)。毛細血管の透過性が亢進。
2. 皮膚出血斑(下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血症状。
3. しばしば上気道感染が先行。
4. 時に,腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴う。
5. 全身性の血管炎が本態。血管壁にIgAの沈着。
6. PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
7. 腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。
【治療】
アレルギー性紫斑病は高度の腎障害がなければ予後は良好で、自然治癒も多いです。
第XIII因子が低下している場合には、第XIII因子濃縮製剤が有効なことがあります。
重症例では、副腎皮質ステロイドが使用されることもあります。
【参考】
腹痛、関節痛、血尿といった随伴症状、紫斑の性状に注意します。
凝固検査が全て正常である点もポイントです。
<リンク>
特に皮疹としてみられている紫斑が特徴的です。
この疾患では下肢〜臀部を中心に、左右対照性の新旧の紫斑が多発します。
若干膨隆して触知可能なことが多いです。性状は、点状から不整形な紫斑と多様ですが、広範囲の紫斑となることはありません。
【病態】
血小板数の低下は無く、出血時間が正常なため血小板機能も正常と考えられます。
PT、APTTの凝固検査も正常です。
家族歴、既往歴、現病歴にも特別な記載はありませんが、腹痛、関節痛、血尿がポイントになっています。
また、何より紫斑が特徴的です。血管壁に起因する出血症状と考えられます。
本症例は、Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)です。
<出血症状症例での考え方の流れ>
<病態把握の流れ>
家族歴、既往歴、現病歴の聴取 → 先天性?
↓
身体所見 → 特徴的な出血部位?
↓
検査(※)
<検査>
血小板数低下 → 有:血小板数低下の疾患
↓無
血小板機能低下(出血時間、血小板凝集能)→ 有:血小板機能低下の疾患
↓無
凝固異常、線溶亢進( PT、APTT、フィブリノゲン、FDP)→ 有:凝固線溶異常
↓無
血管壁の異常
<Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)>
1. 小児に多い血管性出血性素因(成人にもあり)。毛細血管の透過性が亢進。
2. 皮膚出血斑(下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血症状。
3. しばしば上気道感染が先行。
4. 時に,腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴う。
5. 全身性の血管炎が本態。血管壁にIgAの沈着。
6. PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
7. 腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。
【治療】
アレルギー性紫斑病は高度の腎障害がなければ予後は良好で、自然治癒も多いです。
第XIII因子が低下している場合には、第XIII因子濃縮製剤が有効なことがあります。
重症例では、副腎皮質ステロイドが使用されることもあります。
【参考】
腹痛、関節痛、血尿といった随伴症状、紫斑の性状に注意します。
凝固検査が全て正常である点もポイントです。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52| 医師国家試験・専門医試験対策