金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月15日

1型von Willebrand病:D1472H配列変異

論文紹介です。

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D1472H配列変異を有する1型von Willebrand病患者は出血しない」

著者名:Flood VH, et al.
雑誌名:Blood  121: 3742-3744, 2013.


<論文の要旨>

von Willebrand病(VWD)の診断は、現在の臨床検査とくにリストセチンコファクター活性(VWF:RCo)と関連して複雑です。

著者らは最近、健常人の中にvon Willebrand因子(VWF)A1領域における配列変異(D1472H)を持つ者がいることを報告しました。

この場合には、VWF:RCo/ VWF抗原量比が低下していますが、出血症状を伴いません。


今回はさらに1型VWDの診断に至る症状を有する症例にまで検討範囲を拡大しました。

その結果、D1472H配列変異を有する1型VWD症例では、この変動を有さない症例を比較してVWF:RCo/ VWF抗原量比は有意に低く、健常人での以前の知見と同様でした。

しかし、D1472H配列変異を有するVWD症例であっても、出血スコアが高い訳ではありませんでした。


以上、D1472H配列変異は1型VWDであったとしても出血症状を増強させないものと考えられました。

<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 出血性疾患