金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月16日

von Willebrand病と血管形成異常

論文紹介です。

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von Willebrand病に関連した血管形成異常」

著者名:Franchini M, et al.
雑誌名:Br J Haematol   161: 177-182, 2013.


<論文の要旨>

von Willebrand病(VWD)と血管形成異常との関連は、40年以上にわたり知られています。

血管形成異常と関連した胃腸からの出血は、先天性出血性素因の臨床経過を悪化させて、治療を困難にさせます。

後天性にvon Willebrand因子(VWF)活性が低下する病態(AVWS)においても血管形成異常をきたすことが知れれており、実際、単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、Heyde症候群、補助人工心臓を装着した症例などでの報告がみらます。


この総説ではVWD関連の血管形成異常について、機序、臨床、治療の側面から解説されています。

たとえば、機序面ではVWFは血管新生に影響を与えているという研究、高分子マルチマーが特に関与している(血管形成異常は高分子マルチマーが欠損しているVWD2または3型で多いため)という報告などが紹介されています。


治療面では、先天性VWDでは補充療法(重症例では予防的定期補充療法)が紹介されています。

AVWSでは原因疾患を除去することが重要ですが、MGUSのように原因除去できない場合は予防的定期IVIGが有効です。

サリドマイドやスタチンなどの血管新生を阻止する薬物も可能性はあるもののエビデンスはありません。

この病態には不明な点も多く今後の検討が必要です。

<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患