金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月18日

von Willebrand病:DDAVPテスト投与と注意点

論文紹介です。

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von Willebrand病の診断と治療の基本」

著者名:Castaman G, et al.
雑誌名:Haematologica   98: 667-674, 2013.


<論文の要旨>

von Willebrand病(VWD)は、von Willebrand因子(VWF)が量的、質的に欠損する先天性出血性素因です。

VWFは第VIII因子のキャリア蛋白であるため、その欠損または異常により、第VIII因子活性も種々の程度に低下します。

臨床症状は主として粘膜出血や軟部組織出血です。

重症度は、VWFや第VIII因子の低下度に依存しています。

高度にVWFが低下した例での診断は容易ですが、軽症症例で確定診断を追求することは過剰診療につながる懸念があります。

治療目標は、VWFと第VIII因子両者の是正です。

1型VWD(FVIII、VWF≧10U/dL)に対してはデスモプシン(DDAVP)が有効です(テスト投与で効果を確認しておくのが良いです)。

2型&3型VWDではデスモプレシンは無効のことがあり、VWF/ FVIII製剤(日本ではコンファクトF)が必要となります。


<DDAVPのテスト投与>

・VWF<30 U/dLでは、DDAVPテスト投与が望まれます。1時間後(ピーク)と少なくとも4時間後(クリアランス)に、FVIII、VWF:Ag、VWF:Rcoの測定を行います。

・DDAVP投与後に、>50 U/dLとなれば良い適応です。


<DDAVPの注意点>

・2才未満の小児:低Na血症(→水分摂取を制限します)

・動脈硬化を有する高齢者:動脈血栓症合併に注意します。

・大人ではDDAVP後24時間は水分摂取の制限をします(1L未満)。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| 出血性疾患