遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と抗血栓薬
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター
「遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と抗血小板&抗凝固療法」
著者名:DevlinHL, et al.
雑誌名: N Engl J Med 368: 876-878, 2013.
<論文の要旨>
遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangectasia: HHT、オスラー病)は、毛細血管拡張や動静脈奇形が原因となって鼻出血などの出血症状をきたす疾患です。
HHT症例では血栓性疾患の合併も少なくありません。
国際調査の分科会では、抗血栓薬(抗血小板薬や抗凝固薬)がHHTの出血に与える影響についても情報収集されました。
オンラインアンケート調査には、HHTの確定診断のなされた973症例(年齢中央値53.1歳:14-89歳、女性655/973:67.3%)が含まれていました。
973例中700例(71.9%)では抗血栓薬の使用歴がなく、そのうち381例(54.4%)は主治医から抗血栓薬を使用しないよう指導されていたことが理由でした。
HHTが理由で心筋梗塞の治療が行われずに死亡した血縁者がいると回答した者もありました。
一方で、抗血栓薬投与中のHHTが379例あり、153例(40.4%)で鼻出血に変化はないと回答していました。
9/379例(2.4%)は、鼻出血がむしろ改善しました。
少量アスピリン(75mg)、ヘパリンよりも、高用量アスピリン(300mg)やワルファリンの方が鼻出血を悪化させました。
抗凝固薬服用者では抗血小板薬服用者と比較して、鼻出血以外の出血が高頻度にみられました。
しかし、ヘパリン投与社の43/93例(46%)、ワルファリン投与者の21/55例(38%)では、鼻出血は不変または改善しました。
以上、HHT症例に対する抗血栓薬の投与は注意すれば問題ないものと考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 出血性疾患