金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月23日

先天性第XIII因子サブユニットB欠損症:同種抗体の出現

論文紹介です。

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「先天性第XIII因子サブユニットB欠損症においてBサブユニットに対する同種抗体が出現した症例

著者名:Wada H, et al.
雑誌名:Thromb Haemost   109: 661-668, 2013.


<論文の要旨>

第XIII因子はフィブリン安全化因子であり、活性を有するAサブユニット(FXIII-A)とキャリアであるBサブユニット(FXIII-B)よりなります。

FXIII-Bは、FXIII-Aが循環血中から早くクリアランスされるのを防いでいます。

先天性FXIII-A欠損症はまれな出血性素因ですが、FXIII-B欠損症はさらにまれです。


著者らは、重症のFXIII-B欠損症の日本人男性を報告しています。

この症例は73才時に、血小板数減少と歯肉出血をきたしており、FXIII活性は10%でした。

筋肉内血腫を突如きたした際には第XIII因子製剤で止血されましたが、第XIII因子活性は10%に留まっていました。

74才の時に、偶然FXIII-Bが完全に欠損していることが判明しました(ELESA, western blottin)。

さらに、dot blotにより、この疾患では初めてFXIII-Bに対する同種抗体が検出されました(FXIII製剤輸注に起因すると考えられました)。


以上、先天性FXIII-B欠損症は重症型であっても本来は出血症状は軽症ですが、FXIII-Bに対する同種抗体が出現すると出血症状は悪化するものと考えられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| 出血性疾患