金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月25日

血友病B:遺伝子組換え第IX因子製剤の持続輸注

論文紹介です。

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「遺伝子組換え第IX因子製剤の持続輸注による小児期血友病Bの開頭術周術期管理」

著者名:山本真梨子 他。
雑誌名:臨床血液 54: 300-304, 2013.


<論文の要旨>

遺伝子組換え第IX因子製剤(rFIX)の持続輸注によって開頭術周術期管理を行った重症型血友病Bについて報告されています。


症例は1歳男児、頭蓋内出血で発症し、開頭血腫除去後からrFIX定期補充療法を行いました。

クモ膜襄胞が増大し、rFIXの持続輸注を術後7日間以降まで続けました。

手術の合併症は認めませんでした。

rFIXの薬物動態は半減期25時間、in vivo recovery 0.69 IU/dL/IU/kgでした。

またrFIX溶解後のFIX活性は、室温で72時間まで95%以上を保っていました。

本症例はrFIX持続輸注によって開頭術周術期管理を行いました。

本邦初めての小児例と思われます。

適切な活性値を保つには、個々の薬物動態に基づいて維持投与量を調節することが重要です。


持続輸注の利点として、血中凝固因子活性を一定時間、一定レベルに持続できる点があげられます。

開頭手術を含め、出血の危険性が高い場面では活性値の変動を少なく管理できるため、間欠的投与よりも優れたFIX因子活性が得られると考えられました。


一方で、持続輸注ではボーラス投与と比較して、血栓症の合併するリスクが上昇するという報告がありますが、本邦において血栓症は認められませんでした。


rFIXは、赤血球の凝集を軽減するために、添付の溶解液を注射用水から0.234%NaClに変更した経緯があります。

著者らの実験からは、0.234%NaCl溶解液を用いてもrFIX活性は室温で72時間までは95%以上のFIX活性を保ちえました


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患