金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月26日

造血器悪性腫瘍:予防的濃厚血小板輸血(PC)の是非

論文紹介です。

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造血器悪性腫瘍患者に対する予防的血小板輸血未施行の場合について」

著者名:Stanworth SJ, et al.
雑誌名:N Engl J Med  368: 1771-1780, 2013.


<論文の要旨>

造血器悪性腫瘍患者に対する予防的な血小板輸血(PC)の是非については結論が出ていません。

著者らは、英国およびオーストラリアの14施設においては上記を検討するための非盲検非劣性無作為比較試験を行いました。


血小板数1万/μL未満になった際に予防的PC輸注を行う群と行わない群に分類しました。

血小板減少をきたすような化学療法または幹細胞移植治療を受けた16歳以上の患者を対象としました。

主要評価項目は、WHO出血グレード2、3、4度の出血としました。

全部で600例(非予防群301例、予防群299例)(2006〜2011年)が対象となりました。


その結果、PC非予防投与群では151/300例(50%)で出血がみられたのに対し、予防投与群では128/298例(43%)で出血がみられました。

非予防群では予防群と比較して出血している期間がより長く、初回出血までがより短かい結果でした。

自己幹細胞移植を行った患者では、両群間に差はみられませんでした。


以上、予防的なPC投与は有用と考えられました。

ただし、PC予防投与にもかかわらず多数症例で出血がみられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 出血性疾患