2013年07月17日
腹部/解離性大動脈瘤とDIC(1)
腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤とDIC(1)
大動脈は心臓から全身に血液を送る大循環の本幹をなす動脈で、人体で最も太い動脈血管です。
大動脈壁は内側からいわゆるバウムクーヘン様に内膜、中膜、外膜の3層構造からなりますが(図)、内膜の内側で血流に直接接する部分は血管内皮細胞によって裏打ちされていて、血管内に血栓ができないよう凝固線溶系を巧みに制御するしくみを有しています(参考:トロンボモジュリン:血液凝固検査入門(5))。
一方、外膜は丈夫な繊維性の皮で壁構造の強度を維持するとともに圧覚や痛覚などの感覚神経の末端も備え、中膜は文字通り内膜と外膜の間でちょうどスポンジのように大動脈壁のしなやかさを維持しています。
生活の欧米化や高齢化・超高齢化社会の到来に伴い、動脈硬化を基礎とした疾患群が急増していますが、大動脈における動脈硬化の進展は内皮から中膜組織の硬化と脆弱化を引き起こし、血圧上昇といったストレスが加わることによって、大動脈瘤や大動脈解離といった病態を形成します。
(続く)腹部/解離性大動脈瘤とDIC(2):凝固線溶活性化へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:45| DIC