金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年07月23日

腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤とDIC(7)お役立ち情報

腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤とDIC(6)症例提示より続く。

 
腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤とDIC(7)お役立ち情報


<症状と診断契機>
外科的治療が困難な大動脈瘤を背景とし、血液検査上は明らかに線溶亢進型DICを合併していても何ら症状を認めずに経過している症例があります。

出血の臨床症状がなく、外科的治療の介入予定もなければそのまま慎重に経過観察することがほとんどですが、こうした症例が外傷(転倒、打撲)や抜歯を契機にDICが増悪し出血症状のために薬物治療の介入が必要になることがあります。

慢性DICに対して治療を継続している症例にもあてはまりますが、不用意に抜歯などの観血的処置を行わないことや、転倒には十分留意するなど、日々の患者教育も重要です。


急性大動脈解離とDダイマー

急性大動脈解離診断時のバイオマーカーとしてDダイマーの有用性に期待が寄せられています。

具体的には、発症24時間以内に大動脈解離が疑われた患者では、Dダイマー 0.5μg/mLのカットオフ値で除外が可能というものです。

Suzuki T, et al: Diagnosis of Acute Aortic Dissection by D-Dimer. Circulation. 2009; 119: 2702-2707.


カットオフ値0.5μg/mLの除外基準は肺血栓塞栓症でもすでに広く使用されていますので、救急外来で胸痛を訴える患者にD-ダイマーを測定し、カットオフ値0.5μg/mL以下であれば急性大動脈解離、肺血栓塞栓症両者を除外し、それ以上なら両方の可能性を考慮した画像検査を行うといった診断アルゴリズムが可能かもしれません。

ただし偽腔閉塞型の解離ではDダイマーは上昇しづらいとの報告もあり注意が必要です。


(続く)腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤とDIC:インデックス



<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23| DIC