金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年08月19日

抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(1)はじめに

抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(1)


<はじめに>

抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome;APS)は、抗リン脂質抗体(Antiphospholipid antibodies; aPL)の存在下に、臨床症状として動静脈血栓症および様々な妊娠合併症を来す疾患です。

産科合併症とaPLとの関連については20世紀後半より注目されていましたが、正式にAPSとして世に紹介されたのは1986年になってからです。

Harris EN: Syndrome of the black swan. Br J Rheumatol 1987; 26: 324-6

産科合併症を契機に診断されるAPSでは、いわゆる動静脈血栓症の合併がない症例も多いです。

実際、同じAPSという病名の患者を診療していても、産科で診る患者と内科で診る患者とではその臨床像が大きく異なります。

このため産科医と内科医との間で、APSに対する病態認識や治療方針に若干の隔たりがあることも事実です。

aPLに関する検査が標準化されていないだけでなく、産科独自に行われている検査の存在、臨床像の多様性(妊娠初期の習慣性流産から中期以降の死産、早産、妊娠高血圧症候群そして深部静脈血栓症などの血栓症併発症例など)等の点から、良質な臨床試験が得られにくい分野ともいえます。

本シリーズでは、内科医の目線から産科診療に内在する特殊性もふまえつつ、APSの妊娠管理について概説していきたいと思います。

(続く)抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(2)流産の機序

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 血栓性疾患