2013年08月24日
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(6)ヘパリン注意点
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(5)不育症治療より続く。
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(6)ヘパリンの注意点
妊娠中は催奇形性のため最も標準的な経口抗凝固薬であるワルファリンは使用できません。
妊娠時の抗凝固療法はヘパリン類の皮下注あるいは経静脈投与によって行われます。
投与経路に関し、持続点滴であればヘパリンの血中濃度はほぼ一定に保たれますが、皮下注射の場合、投与経過時間によって血中濃度は大きく変動します。
一般的には投与約3時間後に血中濃度がピークに達しますので、APTTのモニタリング、特にAPTT過延長の有無を確認する場合には皮下注3~6時間後の採血が望ましいです。
ヘパリンの副作用として、1)出血、2)ヘパリン起因性血小板減少症(heparin induced thrombocytopenia;HIT)、3)長期投与に伴う骨粗鬆症などがあげられます。
ヘパリン類開始当初はAPTTによるモニタリングに加え、HITの除外のために投与開始2週間以内に血小板数を確認することも重要です。
皮下投与に伴い投与部位の出血に加え、腫れ、かゆみがみられることがあります。
外用薬等を処方する場合もありますが、投与部位のローテーションがきちんと行われているか、注射手技は安定しているか、などについて再確認することも重要です。
(続く)抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(7)症例へ
<リンク>
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 血栓性疾患