金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月05日

DICとアンチトロンビン(AT)9:AT低下と予後

DICとアンチトロンビン(AT)8:AT活性低下の機序より続く。      

AT9
 

播種性血管内凝固症候群(DIC)におけるアンチトロンビン(AT)低下が、必ずしもDICによる消費性凝固障害のためではないとしますと、 DIC診断のためにはAT活性の測定は不要なのでしょうか?

上の論文でも考察されていますように、AT活性はDICの予後予測マーカーとしての意義は大きいようです(この論文では救急領域ですので、造血器悪性腫瘍や固形癌したDICは含まれていません)。

DIC診断基準は予後をも予知することができるものであるべきかどうかは議論の分かれるところかも知れませんが、AT活性が低下しやすい感染症などではAT活性を診断基準に組込んだ方が、予後も反映できるという観点からは良いかも知れません。

ただし、DIC診断と、DIC予後はリンクしている必要はないという意見の場合には、上記の考えは成り立たなくなります。


参考;TAT


(続く)DICとアンチトロンビン(AT)10:AT、プロテインC&S

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| DIC