エルトロンボパグと血栓症:抗リン脂質抗体関連血小板減少症
論文紹介です。
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「エルトロンボパグ投与中に血栓塞栓症を起こした抗リン脂質抗体関連血小板減少症」
著者名:神田 真聡 他。
雑誌名:日本内科学会雑誌 102: 1461-1463, 2013.
<論文の要旨>
抗リン脂質抗体関連血小板減少症は免疫性血小板減少症の約4割を占める血栓素因ですが、両者は区別されないことが多いです(参考:抗リン脂質抗体症候群)。
近年登場したトロンボポエチン受容体作動薬は、血栓塞栓症を起こし血栓性素因のある場合は慎重投与とされています。
著者らは抗リン脂質抗体関連血小板減少症に対し、エルトロンボパグを投与し、深部静脈血栓症と肺塞栓症を発症した1例を経験しています。
症例:77歳、女性。
2005年より免疫性血小板減少症(ITP)に対して、脾摘・セファランチン・ステロイド療法で加療され、安定して経過していました。
2011年4月血小板数が1万/μ以下になったため、近医でデキサメダゾン大量療法が行われましたが、抗リン脂質抗体が陽性であったため紹介されています。
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)59.5秒、ループスアンチコアグラント陽性、抗β2-GPI抗体13.8IU/ml。
ITPの増悪と考え、ステロイド中等量による治療を開始しましたが、治療反応性不良でありステロイド抵抗性と判断し、エルトロンボパグを開始しました。
血小板数は速やかに上昇しましたが、エルトロンボパグ開始44日目に呼吸困難が出現し、深部静脈血栓症・肺塞栓症を発症しました。
エルトロンボパグによる血小板数の増加が血栓塞栓症を誘発した可能性が推察されました。
血小板減少は抗リン脂質抗体症候群の初発症状といわれ、ITPの中に抗リン脂質抗体関連血小板減少症が混在している可能性があります。
ITPにおいてエルトロンボパグを投与する際には、抗リン脂質抗体の検索を検討し、慎重に投与すべきと考えれます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 出血性疾患