金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月22日

von Willebrand病と動脈血栓症

論文紹介です。

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「von Willebrand病における動脈血栓症の低い有病率」

著者名:Sanders YV, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 11: 845-854, 2013.


<論文の要旨>

von Willebrand因子(VWF)の高値は、冠動脈疾患や虚血性脳卒中といった動脈血栓症の危険因子として確立しています。

von Willebrand病(VWD)患者は動脈血栓症になりにくいという仮説がありますが、臨床試験での確認はありません。


著者らはVWF≦30U/dLの大人VWD患者 635人(16〜85歳)と、年齢、性を一致させた一般オランダ人との比較を行いました。


その結果、VWD21症例(3.3%)で29回の動脈血栓症発症が確認されました。

急性心筋梗塞5例、虚血性脳卒中3例での罹患がみられました。

また、不安定狭心症12回、一過性脳虚血性発作9回の発症が記録されました。


全ての動脈血栓症(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈疾患)の有病率は、39%であり、対照の一般人よりも63%い伊結果でした。

VWDでの心血管症患有病率は、一般人よりも有意に低い結果でした。


以上、VWD患者においては動脈血栓症の有病率が有意に低く、動脈血栓症発症にVWFが重要な役割を演じているものと考えられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患