2013年09月21日
血友病関節症の凝固因子補充療法とIL-6受容体拮抗薬
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター
「血友病患者における関節症に対する凝固因子補充療法と補助療法としてのIL-6受容体拮抗薬」
著者名:Narkbunnam N, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 11: 881-893, 2013.
<論文の要旨>
血友病患者において出血に起因する血友病性関節症(HA)を一旦発症しますと、凝固因子製剤の予防投与を行ってもその進行を完全に阻止することは困難です。
炎症性関節炎の治療に際して、IL-6受容体拮抗薬(抗IL-6R)などで炎症性サイトカインを抑制する治療が注目されています。
著者らは血友病Aマウスを用いて、MR16-1(マウスIL-6受容体に対するラットIgG抗体)と、FVIII補充療法の有用性を検討しました(各単独投与群と併用群を設定)。
FVIIIノックアウトマウスを用いて膝関節の出血モデルを作成しました。
初回出血から6週間後に、関節は病理学的に評価されました。
その結果、FVIIIと抗IL-6R併用群において最も関節腫脹が少なく、病理学的な滑膜や軟骨の変化も軽度でした。
抗IL-6Rを併用した場合には、滑膜の過形成、ヘモジデリン沈着、マクロファージの浸潤が抑制されたことも大きな利点でした。
以上、特異的炎症性サイトカインを短期間抑制することは、血友病の関節変形を抑制する上で、考慮すべき方法と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30| 出血性疾患