2013年09月24日
血友病A&Bの動脈/静脈血栓症:第VII因子欠損症との比較
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター
「血友病A&Bにおける動脈または静脈血栓症:第VII因子欠損症との比較」
著者名:Girolanmi A, et al.
雑誌名:Eur J Haematol 91: 152-156, 2013.
<論文の要旨>
先天性出血性素因における血栓症疾患について近年関心が高まっています。
血友病やvon Willbrand病の患者、まれな凝固異常症患者においても時に血栓症を発症しますが、動脈血栓症と静脈血栓症を分類した上での検討はほとんどありません。
この目的で、著者らは文献検索を行いました。
血友病AまたはB患者85症例が動脈血栓症の既往があったと報告されていましたが、第VII因子欠損症では6例でした。
一方、静脈血栓症に関しては、血友病AまたはBでは34症例、第VII因子欠損症では32症例の報告がみられました。
動脈血栓症と静脈血栓症の比率は、血友病A、血友病B、血友病A&Bでそれぞれ3.72、1.13、2.50でした。
一方、第VII因子欠損症では0.19でした。
以上、血友病AまたはBは動脈血栓症になりにくい訳ではないが静脈血栓症にはなりにくいと考えられました。
一方、第VII因子欠損症では、動脈血栓症になりにくいが、静脈血栓症にはなりにくい訳ではないと考えられました(血友病と対照的)。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 出血性疾患