金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年10月22日

先天性凝固異常症(1)RBD

先天性凝固異常症(1)RBD

はじめに

先天性出血性疾患の代表は血友病とvon Willebrand病(vWD)であり、平成23年度血液凝固異常症全国調査によると両者合わせて92%(血友病A 64%;4475例、血友病B14%;971例、vWD14%;984例)を占めています。

滝正志,他.血液凝固異常症全国調査,平成23年度報告書(財団法人エイズ予防財団).2012.


残りの8%(556例)程度が稀な凝固因子欠乏/異常症(rare bleeding disorders; RBD)です。

フィブリノゲン(Fbg)欠乏症異常症、プロトロンビン低下異常症、第V因子(FV)・第VII因子(FVII)・第X因子(FX)・第XI因子(FXI)・第XII因子(FXII)・第XIII因子(FXIII)欠乏異常症、第V・VIII因子複合欠乏症があります。


図1


本邦では、Fbg欠乏/異常症の頻度がRBDの22%と最も多く、次いでFVII欠乏/異常症(20%)、FXIII欠乏/異常症(19%)と続きます。

RBDは常染色体劣性遺伝形式をとり(Fgb異常症は常染色体優性遺伝)、ホモ接合体の発症頻度は50万から200万人に1人と極めて稀です。

Peyvandi F, Duga S, Akhavan S, Mannucci PM. Rare coagulation deficiencies. Haemophilia. 2002; 8: 308-321.

Mannucci PM, Duga S, Peyvandi F. Recessively inherited coagulation disorders. Blood. 2004; 104: 1243-1252.

Peyvandi F, Bolton-Mags PHB, Baltorova A, et al. Rare bleeding disorders. Haemophilia, 2012; 18: 148-153.

活性・抗原量ともに低下する欠乏症と、抗原量は正常であるが活性が低下する異常症に分類されます。

この後、Fbg、プロトロンビン、FV、FVII、FX、FXI、FXII、FXIII欠乏/異常症について概説します。

(続く)先天性凝固異常症(2)先天性フィブリノゲン欠乏症


<リンク>:臨床に直結する血栓止血学

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34| 出血性疾患