2013年10月29日
先天性凝固異常症(8)第XII因子欠乏/異常症
先天性凝固異常症(8)第XII因子欠乏/異常症
第XII因子欠乏/異常症
本症は常染色体劣性遺伝であり、世界各国で約300症例が報告されています。
APTTが著明に延長しますが、臨床的に出血傾向も血栓傾向も示しません。
検査所見
臨床症状がないため、術前検査などで偶然発見されます。
APTTが著明に延長しますがPTは基準範囲内です。
通常日本人は欧米人に比べて、FXII活性・抗原量が低値を示しますので、コントロール血漿は輸入製品ではなく自家製のものが望ましいです。
FXII活性が著明に低下し、クロスミキシング試験で欠損症パターンを呈した場合、先天性FXII欠乏/異常症を疑います。
F12遺伝子のエクソン1のCys46Tyr変異は、翻訳開始コドンATGから4塩基上流にある遺伝子多型で蛋白質翻訳に影響し、血漿FXII活性低下をもたらします。
日本人ではこの活性低下をきたす多型頻度が高く、血漿FXII活性が白人に比べて低下しています。
治療
本症は臨床的に出血の原因になりませんので、FXII活性が1%で大手術を施行する場合でも、治療は必要ありません。
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 出血性疾患