血友病とPT、APTT
論文紹介です。
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「グローバルテスト:PT、APTTの基礎と臨床」
著者名:内場光浩
雑誌名:日本検査血液学会 14: 337-343, 2013.
<論文の要旨>
PTおよびAPTTはそれぞれ凝固外因系と内因系の反応を反映すると考えられていますが、あくまでも試験管内の反応であり、生理的凝固反応の一側面しか反映していません。
診断のための検査としては、凝固因子欠損症のスクリーニングが、次いでインヒビターのスクリーニングが挙げられます。
特にAPTTは、第VII因子欠損症を除く全ての凝固因子欠損症で延長するため、凝固因子欠損症のスクリーニングに有用です。
しかしながら、因子活性低下に対する感受性は試薬によって大きく異なり、また因子によっても異なります。
特に血友病保因者などの軽〜中程度の低下症では、APTT は必ずしも異常値を示さない場合もあります。
インヒビターを呈する疾患の中で頻度が高い疾患はループスアンチコアグラントですが、緊急度は後天性血友病の方がより高いです。
これらインヒビターの検出には混和試験が有効ですが、後天性血友病の場合は混和直後では検出されないこともあるため、混和2時間後の測定が必要です。
一方治療方針決定の検査として、ヘパリンの指摘投与量の調整にAPTTが用いられ、数多くの学会作成のガイドラインでもAPTTを1.5〜2.5倍が治療域であると記載されています。
しかしAPTTは試薬間差(施設間差)が大きくガイドラインの様に使用することは出来ません。
第VIII因子活性の低下とともにAPTTは延長し、特に凝固因子活性が20%以下の患者では51例中49例(96%)が基準値以上の延長を呈していました。
この事実は血友病Aの患者のスクリーニング検査としてはAPTTは充分使用に堪え得ると考えられます。
しかしながら、VIII因子活性が20〜60%の症例では26%(19例中5例)がAPTT基準値内の値を示しました。
この事実は血友病Aの保因者などではAPTTが正常な値を示す症例も少なくなく、保因者スクリーニングにAPTTを使用する場合は注意が必要であることを示しています。
第IX因子の低下にてもAPTTは延長し、因子活性が20%未満の症例のすべて(5例中5例)で異常値を示しましたが、IX因子活性が20〜60%の症例でAPTT異常値を示したのは33%(9例中3例)に過ぎませんでした。
従って血友病Bの保因者のスクリーニングは血友病Aの診断スクリーニング以上の注意が必要であると考えられます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 出血性疾患