金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年01月02日

過多月経の血液凝固検査

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「過多月経の診療」

著者名:Pai M, et al.
雑誌名:Br J Haematol 162: 721-729, 2013.


<論文の要旨>

過多月経は臨床においてしばしば遭遇します。

女性の10〜35%は一生の間で過多月経の経験があるのに対して、過多月経の精査目的に内科を受診する女性は5%に過ぎません。

産婦人科を受診する女性の15%は過多月経であり、出血性素因と関連して血液専門医が診療にあたる機会も多いです。

過多月経の原因としては局所性、全身性ともに多様であり、注意深い診察と検査が必要です。


(過多月経の血液学的検査)〜婦人科疾患を除いて〜

(1)    血算:貧血の有無、血小板数低下をきたす疾患の有無

(2)    血小板機能検査:血小板凝集能

(3)    フェリチン:鉄欠乏性貧血の診断

(4)    PT、APTT、フィブリノゲンなど:異常があれば凝固因子活性も測定

(5)    VWF抗原、VWF活性、第VIII因子(必要があればVWFマルチマー構造解析)

(注意)

VWFレベルは月経周期の影響を受けます。

エストロゲンレベルが高いと、VWF値が上昇してVWDを見逃す懸念があります。

VWFの測定はエストロゲン値が最低となる月経周期1〜4日で行うのがよいです。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 出血性疾患