金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年01月04日

第VIII因子遺伝子(F8)変異と血友病A患者インヒビター

論文紹介です。

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「第VIII因子遺伝子(F8)変異と非重症血友病A患者でのインヒビター発症」

著者名:Eckhardt CL, et al.
雑誌名:Blood 122: 1954-1962, 2013.


<論文の要旨>

非重症血友病A患者における第VIII因子インヒビターの発症は、出血傾向を悪化させるために重大な合併症です。

第VIII因子製剤の治療日数を考慮したデータがないために、インヒビター発症危険度の高い患者の固定は困難でした。

INSIGHT試験では、著者らは非重症血友病A患者(FVIII:2〜40IU/dL)におけるF8変異とインヒビター発症の関連について検討しました。


欧州とオーストラリアからの14のセンターより非重症血友病A患者1112例が登録されました(70%の症例では遺伝子変異が同定済み)。

治療44,800日(1人の患者あたりの治療日の中央値は24日)のなかで、1112症例中59嶺でインヒビターを発症しました。

治療日中央値28日の後に、累積で5.3%の発症率でした。


50治療日におけるインヒビターのリスクは6.7%であり、100治療日では13.3%にまで上昇しました。

全体でそれぞれ異なったF8ミスセンス変異214件のうち、19件ではインヒビターの発症と関連していました。


以上、非重症血友病A患者におけるF8変異の同定は重要と考えられた。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 出血性疾患