金沢大学第三内科:血液・移植グループ(6)
「血液・移植グループ」(6) by 山崎宏人
5. 研究
【齊藤千鶴】
骨髄不全の発症メカニズムに関わる病態解析を行っています。
免疫学的攻撃が関与した骨髄不全においてSLIT1という遺伝子の変異を持つ症例があることを認め、この遺伝子が造血細胞の増殖抑制にも関わっていることを確認し、骨髄不全との関係をまとめているところです。
【丸山裕之】
再生不良性貧血患者(AA)の一部では、片側のHLAクラスIアレルを欠失した白血球が検出されますが、これは造血幹細胞の提示する自己抗原を認識して攻撃するCTLからの免疫逃避の証拠と考えられます。
当院の検討では、診断時のAA患者の約20%で上記血球が陽性となり、陽性患者では陰性患者と比べATG+CsA療法の奏効率が高い傾向があることがわかりました。
より症例数を増やして検討を進める予定です。
また、上記片側HLAクラスIアレル欠失血球陽性例の一部では、欠失HLAアレルが抑制性KIR(NK細胞免疫グロブリン用受容体)のリガンドであることがわかりました。
本来、このようなmissing self細胞ではNK細胞活性化によりkillingを受けると考えられますが、AAでは上記血球が恒常的に存在していることから、何らかのNK細胞免疫寛容機構が存在する可能性を考え、検討を行っております。
【材木義隆】
現在の研究内容です。
1. マルチプレックス定量PCR法による6pUPDの検出
2. 再生不良性貧血患者における免疫抑制療法の奏効性を予測するマーカーの同定→骨髄単核球のNr4a
3. ABO副不適合造血細胞移植後のABO抗体産生と補体の活性化
4. 抗HLAモノクローナル抗体の作成
(続く)
<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:51| 血液内科