金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年04月09日

インヒビター保有重症血友病A:第VIII因子製剤とIVIG

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「インヒビター保有重症血友病Aに対する血漿由来第VIII因子製剤とIVIGによる免疫寛容療法」

著者名:de Cos C, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 25: 77-80, 2014.


<論文の要旨>

著者らは、関節内出血をきっかけに生後8ヶ月で診断された重症血友病A(1991年7月に誕生)について報告しています。


出血時にon-demand療法が行われていましたが、6歳時にインヒビター(1.75〜2.5 BU)を発症しました。

免疫寛容療法(ITI)が行われましたが、インヒビターが持続する(3.75〜6.75 BU)ために、親の判断により3ヶ月で中断されました。

そのため遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)によるon-demand療法が行われました。

13ヶ月後には、インヒビター力価はピーク(37 BU)となりました。


2003年5月(11歳)時、血漿由来第VIII因子製剤(100IU/kg/24hr、連日)とIVIG(1g/kg/24hr、3週間毎に2日間)による救済ITIが行われました。


救済ITI開始16ヶ月後にインヒビターの除去が確認されました。


インヒビター除去後もFVIII+IVIGを3ヶ月間追加して、第VIII因子製剤予防投与(40IU/kg、週に3回)に変更されました。

現在においてもインヒビターはみられていません。



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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 出血性疾患