遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)有効性&安全性
論文紹介です。
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「インヒビター保有先天性血友病患者の出血エピソードにおける遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤(ノボセブンR)の有効性および長期的安全性:10年間の市販後調査解析報告」
著者名:白幡聡他。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 24: 593-602, 2013.
<論文の要旨>
インヒビター保有先天性血友病患者の出血エピソードにおける遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤(rFVIIa)の10年間の使用成績調査をもとに、その有効性と安全性を解析した。
有効性評価が可能な先天性血友病患者142例1,718出血エピソードについて解析した結果、rFVIIa投与から12時間以内に止血効果が認められた割合は65%、最終的に止血効果が認めらえた割合は88%であった。
rFVIIa単独治療群の1回投与量、投与回数、投与日数の中央値はそれぞれ103μg/kg、3.0回、1.0回であった。
出血部位は関節内出血が63%と最も多く、次いで筋肉内出血が14%、皮下出血が9%であった。頭蓋内出血、消化管出血、血尿では投与日数が有意に長かった。
また安全性については、144例、8,097出血エピソード、全24,778回の投与に対して、4例5件の血栓塞栓性事象が報告された。
有害事象の中でも、特に血栓塞栓事象に注意をする必要がある。
rFVIIa使用における血栓塞栓事象に対しては、特にsequential therapy等の(A)PCC製剤との併用は注意が必要であり、また尿路系の出血に対して飲水や輸液により、利尿を促すなどの対策が重要であることが示唆された。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患