金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年04月12日

肝細胞癌と後天性血友病A:出血性&血栓性素因の共存

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「肝細胞癌に合併した後天性血友病A」

著者名:Croft J, et al.
雑誌名:Br J Haematol 164: 617, 2014.


<論文の要旨>

鼻出血、体幹および右上肢の非外傷性の広節な皮下出血がみられた62歳女性の症例報告です。

既往歴には難治性多発性の肝細胞癌(HCC)、右房内血栓、多発性肺塞栓がありました。

CTでは、肝右葉にHCCがみられ、下大静脈に浸潤していました。

エノキサパリンは中止され、鼻出血は局所治療がなされました。


APTT比>7.0(正常血漿で補正されない)、第VIII因子活性2.0IU/dl、第VIII因子インヒビターは41.5 BUでした。

後天性血友病Aと診断されました。


本症例は、治療上のジレンマを抱えたまれで対応しにくい症例です。

特に、血栓性疾患と致命的な出血症状を合わせもつために、第VIII因子インヒビターの除去治療にも利点と危険性をあわせもつと考えられました。


この論文ではこの後の経過が記載されていませんが、治療法について悩む教育的な症例と考えられます。

管理人らであれば、第VIII因子インヒビターに対して免疫療法を充分に行なって治療効果をチェックしながらエノキサパリンを再開するのではないかと思います。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 出血性疾患