金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年04月13日

プロテインC欠損症の治療:プロテインC濃縮製剤皮下注

論文紹介です。

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「重症プロテインC欠損症の治療法としてのプロテインC濃縮製剤皮下注」

著者名:Minford A, et al.
雑誌名:Br J Haematol 164: 414-421, 2014.


<論文の要旨>

重症プロテイン(PC)欠損症の治療法としてPC濃縮製剤の皮下注が1996年に最初に報告されて以来、いくつかの症例報告がなされてきましたが、統一されたアプローチではありませんでした。


PC濃縮製剤の皮下注治療の行われた報告を文献検索し、また製薬会社や個人通信からの情報を収集しました。

治療の詳細は、14症例で明らかにできました。

輸注頻度が増加していた1症例を除いて、PC投与量が減少していた症例においても血栓症の発症はみられませんでした。


まずは、PCのトラフ値>0.25IU/mLを目指すべきと考えられました。

その後の維持療法としては、とくに経口抗凝固薬を併用するのであればより少量のPC製剤でも良いと考えられました。

副作用はみられませんでした。


以上、重症PC欠損症に対して、PC製剤皮下注単独療法または経口抗凝固薬との併用療法は、安全かつ有効と考えられました。

この治療法は中心静脈カテーテル管理を必要としない点で優れた治療法です。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33| 出血性疾患