2014年05月23日
新しいDIC診断基準へ(6)フィブリノゲン
新しいDIC診断基準へ(6)フィブリノゲン
フィブリノゲンはDIC診断に有用かどうかは議論になるところです。
感染症に合併したDICでは、フィブリノゲンが低下するのは例外的です。
DIC症例であっても炎症反応によりフィブリノゲンはむしろ上昇していることも少なくありません。
フィブリノゲンを診断基準から外すことで感染症におけるDIC診断の感度を向上させることが可能です。
急性期基準は、当初作成された基準にはフィブリノゲンが採用されていましたが、その後の検討でフィブリノゲンが削除されました。
これは、急性期基準の検証に登録された症例が、感染症に起因する例が多かったためと考えられます。
しかし、フィブリノゲンがマーカーとして価値が高い基礎疾患も多数あります。
例えば、固形癌、造血器悪性腫瘍、産科合併症、頭部外傷、動脈瘤などではフィブリノゲン低下がみられやすく、DIC診断上、大変重要な所見です。
このような背景のもと、基礎疾患別に適用する診断基準を変える場合には、感染症を基礎疾患とする場合のみ、フィブリノゲンをスコアから除くのが望ましいと考えられます。
DIC の病型分類: Classifying types of disseminated intravascular coagulation: Clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2:20, 2014
<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25| DIC