急性前骨髄球性白血病(APL)とDIC
CBT(コアカリ)問題の紹介と解説です。
骨髄血塗抹May-Giemsa(メイ・ギムザ)染色標本を示す(註:すぐに分かるAPL細胞です)。
合併症として最も懸念されるのはどれか。
A. 深部静脈血栓症
B. 狭心症
C. 腎盂腎炎
D. DIC
E. 関節内出血
(解説)
A:深部静脈血栓症(DVT)の危険因子としては、脱水、肥満、妊娠・出産、経口避妊薬、下肢骨折・外傷、手術後(特に骨盤内臓・整形外科領域)、下肢麻痺、長期臥床、ロングフライト、悪性腫瘍、心不全、ネフローゼ症候群、血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、抗リン脂質抗体症候群など)などが知られています。
B:高コレステロール血症、糖尿病、喫煙などが狭心症の危険因子です。
C:急性腎盂腎炎は、DICの基礎疾患の一つです。
D:DICの基礎疾患としては、敗血症、急性白血病、固形癌、産科合併症(常位胎盤早期剥離,羊水塞栓)、外傷、熱傷、膠原病(特に血管炎合併例)、ショック、大動脈瘤、劇症肝炎、肝硬変、急性膵炎などが知られています。
特に、急性前骨髄球性白血病(APL)では、DICは必発です。
E 関節内出血は、血友病の出血症状として有名です。
(備考)
骨髄血塗抹May-Giemsa(メイ・ギムザ)染色標本は、faggotがみられるAPL細胞でした。
急性前骨髄球性白血病(APL)は、線溶亢進型DICを合併することで有名です。しばしば、重症の出血症状をきたします。
DICの検査所見としては、FDP上昇、D-ダイマー上昇、フィブリノゲン低下、プロトロンビン時間延長などがあります。
なお、急性白血病では、DIC合併の有無と関係なく血小板数は低下するため、血小板数はDICの診断に用いることはできません。
<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 医師国家試験・専門医試験対策